埼玉県のCO2削減 コンビニの深夜営業に自粛要請
埼玉県は、二酸化炭素排出削減のため、コンビニエンスストアやスーパーなどに深夜営業の自粛を要請する方針を固めました。年度内にまとめる『地球温暖化対策地域推進計画(改訂版)』に盛り込む方針で、同様の自粛要請は「他の都道府県では例がない」といいます。
埼玉県によると、農村部にあるコンビニのフランチャイズ店で、客が来ないのに本社の指示で店を開けているケースが多いことが分かりました。埼玉県は、「(深夜営業自粛による直接的な)CO2削減の効果は大きくないが、夜型ライフスタイルを変革する象徴的な位置づけになる。何らかの形で自粛を要請する」としています。
埼玉県が設置している有識者による『地球温暖化対策地域推進計画』に関する専門委員会では、委員から、深夜営業自粛の義務化を求める声が出ています。しかし一方で、「消灯しても冷蔵庫が稼働していては効果が薄い」「深夜営業は雇用の受け皿になっている」など慎重論もあります。
埼玉県は、要請対象を不採算店に絞るかや、閉店せずに照明を暗くしてもらうだけにするかなど、具体的な要請内容を検討しています。
深夜営業の自粛要請に、コンビニ各社からは反発の声も
埼玉県による深夜営業の自粛要請に対して、コンビニ各社は「地域住民の合意があれば従う」(大手コンビニ関係者)との声がある一方で反発の声も上がっています。
「深夜の納品も多く、日中は物流コストがかかる」(ローソン)
「深夜営業のコンビニは交番代わり、防犯の役割もある」(セブン−イレブン・ジャパン)
「夜型ライフスタイル」は、是か非か?
一言に「夜型ライフスタイル」と言っても、これを一括りにするわけにはいきません。
「夜型ライフスタイル」を送っている人たちには、居酒屋やディナーメインの飲食店の店員、学校終了後に生徒を集める学習塾の講師・スタッフ、深夜トラックの運転手、24時間操業の零細・中小部品工場や道路工事およびその警備で深夜勤といった「夜型就労者」。また、昼も夜もない創業から間のないベンチャー企業や決算日直前の経理担当者といった残業で一時的に夜型ライフスタイルになっている人のほか、趣味の関係で夜に過ごす時間が多くなっている人から、心の病気で夜にしか活動ができなくなっている人まで様々です。
仕事の都合で「夜型ライフスタイル」を送っている人たちに話を絞ったとして、実際問題、「早寝早起き、規則正しく」と言っていられる職業・職場が一体どれだけあるのでしょうか? 官公庁は必ず、始業終業時刻が決まっていますが、民間企業・商店ではそうは言っていられません。
「夜型ライフスタイル」が生み出すもの
地球規模で見れば、夜は植物の光合成が弱まって呼吸が増えている時間です。よって夜中に人間が行動する「夜型ライフスタイル」は、吸収されにくい二酸化炭素を生み出していると言えます。
しかし一カ国レベルで見ると、その国内総生産の中には「夜型ライフスタイル」を送っている人たちの生産力が含まれており、夕方・夜でしか実現できない生産もあります。渋滞覚悟の昼間より深夜の国道を走った方が運送料は安くできますし、居酒屋の稼ぎ時はやはり夜、学習塾に生徒を集められるのは夕方から夜です。
安易なコンビニの深夜営業自粛は、こうした夜型ライフスタイルを送っている人たちの消費活動による稼ぎを単純除外することになります。確かに農村の真ん中にあるコンビニであれば、朝は夜明けとともに開けて、夜は夕暮れとともに閉めても良いかもしれません。しかし、都心部はもちろん、都心部に対するベッドタウンの真ん中、長距離トラックの往来がある国道沿いといった立地のコンビニは、深夜営業を強く望むでしょう。
コンビニ問題は、「夜も生産時間」という社会構造の問題
個人的な経験上、「仕事で完徹」という状況を脱し、睡眠薬を飲んででも「昼型ライフスタイル」の方が心身は良好なようです。よって「夜型ライフスタイル」そのものを、生理学的にも不自然と断じることもできます。
けれども、「夜も生産時間」とする社会構造は、十年、二十年単位で構築されてきた大きなものです。従って、低炭素社会を実現するためとはいえ、いま「コンビニに深夜営業自粛を」と言っても標語になりかねません。コンビニ照明を発光ダイオードに替える、冷蔵庫を省エネのものにしていくといった、省エネ推進のための助成の方が、現実的なのではないでしょうか?