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「『くたばれGNP』ワンスモア」に思う GDPで日本が世界第3位に転落する日(3)―ブータン王国

GDPで153位、それでも国民の90%は幸福
ブータン王国は、九州と同じぐらいの国土に、70万の人たちが暮らす国。ヒマラヤ山脈の南側、中国とインドに挟まれたネパールの東隣にあります。
南部は標高100m程度で亜熱帯気候、中部は標高1200~3000mでモンスーン気候、北部は標高3000mを超えるツンドラ気候と、多様な気候が並存する自然豊かな国です。

ブータン王国は、世界唯一のチベット仏教を国教とする国でもあります。主要産業は農業ですが、最大の輸出品はヒマラヤの斜面で行う水力発電の電力で、国家予算の大部分はインドへの電力輸出で賄っています。そのGDPは34億ドル、世界153位と経済的には小国だと言えます。

↑ブータン王国のパロ村

↑パロ村の中心街

↑パロ村の郊外

前国王ジグミ・シンゲ・ワンチュクは、1972年に、16歳でブータン王国の第4代国王に即位しました。先代国王が進めた急速な近代化を憂い、「急ぎ過ぎない開発」を主眼とした自然環境の保護へと転換。ブータン独自の立場や伝統を守るべく、「国土に占める森林の割合を60%以上に保つ」といった法律などを制定し、近代化の速度をコントロールしていきます。
その思想は国民にも浸透しており、鶴が渡ってくる土地では、鶴を保護するために送電線の敷設を取りやめて、自家発電による夕方3時間ほどの通電のみで良しとする村が多くあります。

国内テレビ放送が始まり、インターネット利用が許可されたのはわずか10年前、1999年のことです。こうした施策を絶対王政ではなく、国王が国民議会に対する拒否権を持たない立憲君主制の下、2005年の公式統計で失業率3.1%という経済運営をしながら進めてきたことに注目すべき点があります。

「ブータン北部の伝統と文化に基づく国家統合政策」を施行してネパール系住民の離脱を招いたものの、一方で、英語の公用語化を推進。伝統のゾンカ語が語彙に乏しい言語であることもあり、若者世代では英語が第一言語となりつつあります。

↑ブータンの露店

↑ブータンのショッピングセンター

観光地化もコントロールし、独自色の魅力を磨く
英語が通じて、豊かな自然が残る仏教国の秘境・・・
いかにも欧米人好みの国ですが、観光政策では、文化・自然保護の観点から外国人観光客をアッパークラスに絞って入国を制限。入国するには必ず旅行会社を通し、旅行代金として入国1日につき200ドル以上を前払いし、ブータン側のガイドを付けることで、「ブータンの独自性が損なわれる観光地化」を回避しています。

ブータン観光をした人々は、「隣のインドや中国と異なって物乞いや小物を売りに来る子供がいない」「看板が極端に少ない」「トイレがきれい」といった所に驚きを感じるようです。が、失業率3.1%という数値からすれば、ホームレスやストリートチルドレンは出にくいでしょうし、観光客のための繁華街でなければ、街はそこに住んでいる人々の日常に収まることから派手な看板も不要となるわけです。

「観光立国=観光客にとって便利な国」とは異なるアプローチ、他の国にはない独自性の追求を徹底することで「一度は行ってみたい国」という地位を築くこともできるという実証は、示唆に富んでいます。


↑パロ村に建つ外資系高級ホテル「ウマ・パロ」。外観はブータンの伝統様式を重んじつつ、内装は5ツ星のグレード。

1億2000万人と70万人はケタ違いだが・・・
ブータン王国がブータン王国でいられる理由は、70万人という小国であることも大きな要因です。ですが、その一国としての動きには習うべきことが多くあるように感じられます。

ブータン王国が日本で話題になったのは、1989年(平成元年)の大喪の礼。昭和天皇の葬儀の時です。

訪日の機会を得た発展途上国の首脳の多くが、日本から経済的な協力を得るために葬儀の前後に日本政府首脳と会談しました。
ブータン王国も、当時34歳のジグミ・シンゲ・ワンチュク国王が訪日。しかし、他国が「弔問外交」をしている中、ワンチュク国王だけは政府首脳との会談を持ちませんでした。その理由を新聞記者に問われた若き小国の王は、毅然として「日本国天皇への弔意を示しに来たのであって、日本に金を無心しに来たのではありません」と返答しています。

「人間は物質的な富だけでは幸福にはなれず、充足感も満足感も得られない」として、16歳でGNHを提唱したジグミ・シンゲ・ワンチュク国王らしい言動。言行一致とは、まさにこの事でしょう。

ただしブータン王国も、大きな転換期を迎えています。
2006年に第4代国王ジグミ・シンゲ・ワンチュクから、王位が第5代国王ジグミ・ケサル・ナムゲル・ワンチュクへ禅譲。さらに2007年から2008年にかけて、普通選挙による議会(2院制)へ移行し、議院内閣制の国となりました。

英語を使いこなし、インターネットで外国にも通じた新しい世代が普通選挙権を得たブータン王国。これまでと同じ「急ぎ過ぎない開発」を続けるのか、一気に開発を進めて近代化を図るのか、そこには「ブータン国民から見た、先進国に対する評価」が表れてくることでしょう。


「『くたばれGNP』ワンスモア」に思う GDPで日本が世界第3位に転落する日(4)―先進とは?」に続きます。
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千秋真一に23%似ているらしいブロガーです。
実家である愛知県に戻ってきました。
ほぼ日刊で更新中。日々の巡回サイトに加えてやってください。
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ブロガー名を、「鮎滝 渉」へ改めました。
私が自分に付けた最初のペンネーム。そして、「一角の者になるまでは使うまい」と思ってた名でもあります。

大して公知のペンネームというわけでもありません。が、1回目の中小企業診断士試験の失敗以降、あれこれと思い悩む中、「“輝かしい名としようする執着”はかえって醜い。そろそろ、この名を名乗る覚悟をしよう」と決意。鮎滝の名を使うことにしました。

ちなみに、旧ブロガー名は「スクナビコナ」。
日本神話に出てくる知恵の神様の名前です。恐れ多い名前ですが、ブログをする気構えとして、使っておりました。

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