一昨日・3日、広島県安芸太田町の「国設恐羅漢スキー場」で、スノーボード中の7人の男性が行方不明になっていた事件。
この事件について5日午前、広島県警・陸上自衛隊などの捜索隊は恐羅漢山の島根県側で7人全員の生存が確認されました。2人は自力で下山し、残る5人は広島県の災害派遣要請を受けて出動していた陸上自衛隊第13旅団が救助活動を行っています。相次ぐ冬山遭難同じく2月3日には、長野県小谷村の栂池高原スキー場において、スキー実習中の愛知大学2年生の女子学生2人と男性指導者が雪崩に巻き込まれる事件が発生。指導者は自力で脱出したものの、2人の女子学生は搬送先の病院で死亡。現場は「立ち入り禁止コース」でした。
1月16日。鳥取県琴浦町の船上山で大山登山に来た登山客3人が遭難。積雪が多く、下山ルートを変更したが、男性1人の登山用ロープが流木に引っ掛かり身動きできなくなり、その男性は滝に流されて死亡。現場に留まった2人は、捜索隊によって救助されました。
1月11日。12月30日から、山形県米沢市のスキー場へ入山して遭難していた男性が、福島県北塩原村のスキー場付近に自力下山しました。
1月1日午前0時ごろ、岐阜県高山市の北アルプス槍ケ岳で雪崩が発生。新年を雪山で迎えた登山愛好者7人を雪崩が襲い、4人が死亡しました。
11月23日。北海道十勝岳連峰の上ホロカメットク山で日本山岳会北海道支部のパーティー11人が雪崩に巻き込まれ、3人が意識不明の重体、1人が行方不明となった事故で、道警は24日午前、4人の死亡を確認しました。
11月5日。富士山を登山中の男性4人から、「アイスバーンに阻まれて動けなくなった」と助けを求める110番通報が入りました。富士山9合目付近で、山梨県防災ヘリによって無事に救助された4人は、ジーパンにスニーカーの軽装で、登山計画書の提出もしていせんでした。
山林は東西南北を見失う場所吹雪く冬山では当然ですが、夏山でも登山道から数十メートルも離れれば、似たような木々に囲まれる中で方角を見失うのが山です。
私が育った町には東西南北を民家や大きな市道に囲まれた山があって、小学生の頃、しばしば奥まで入ったことがあります。もっとも、奥に入ったところで、手入れが行き届いている山なので、たいていは木々の間から市道を走る車や民家の屋根が見えていたわけですが、谷間に行くと「360度、木だけ」というポイントが幾つかありました。
子どもの私にとって、そういったポイントは山を感じるおもしろい場所でした。ちょっと寝転んで、しばらく「カサカサ」という落ち葉の音と「サワサワ」となる木々の音を楽しんだりするわけですが、うっかり日が入らなくなる時刻まで過ごすと方向が分からなくなります。そういう時は、車の音を探して恐る恐る下りていきます。
町中の山でもこれですから、山脈でどうなるかは言うまでもありません。
山は、ただただ静かな場所山脈に連なるような山は、人の手を入れるにしても限界があります。そして、ただひたすらに静かです。
登山道というのは、そんな山の中で、20年、30年かけて「ここまでは人の手が届いたところ」として築いてきた道です。さらにこれを広くしたのが、スキー場です。たいていのスキー場は、赤色などのネットで囲まれていたり、「これより立ち入り禁止」という看板がありますが、これらは「ここから先は人の手が届いていません。安全は保障しかねます」という冬山のプロ、スキー場経営者による注意喚起です。
雪崩は、プロでも予想が難しく、出会ってしまったら最後、人力では抗いようがありません。もし出会ってしまったら、「埋まるならなるべく浅く。できれば、気を失う時間は短く、手足の自由がきくように」と祈るだけです。
しかし、立ち入り禁止区域に入るのは論外です。広島の事件では、リフトでスキー場が限界としている所よりさらに高いところに登ったとのことですし、長野の事件は、「立ち入り禁止コース」に入った果てのことでした。
立ち入り禁止区域への侵入は、「新雪が気持ちいい」「難しいところを滑りたい」などの無邪気な発想から始めたことでしょう。
しかし、立ち入り禁止の看板は、冬山のプロたちが20年、30年かけて山と付き合う中でようやく決めてきた「遊び場」と「死地」の境界線です。死地の方には、プロでも避けきれない間隔で木々が生え、新雪に埋もれて倒木が潜み、雪に隠れて谷が口を開けています。こうした一線を無邪気に超えられる思慮の浅い人に冬山で遊んで欲しくないなぁと、スキー好きの私は思います。