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小児の心臓移植:国循と阪大病院タッグ 共同で医師団編成 ・・・体制は整えておかないと

小児の心臓移植 国循と阪大病院タッグ 共同で医師団編成
(産経新聞 12/14付)

7月の改正臓器移植法施行で15歳未満の小児の臓器提供 が可能になったことを受け、国立循環器病研究センター(国循、大阪府吹田市)と大阪大付属病院(同市)は、小児の心臓移植を協力して行うことで合意した。どちらの施設で移植を行う場合でも、共同で医師団を編成して対応する。小児からの移植は国内でまだ例がなく、成人とは違う難しさもあるため、相互に連携して成功を目指す。

小児の心臓移植は、先天性心疾患の患者に行う場合は手術が複雑になり、高い専門性が要求される。また、移植後の免疫抑制剤の使用に伴う発がんの可能性が高いなど、術後の管理にも難しさがある。

国循は、小児の心臓病治療で国内有数の実績を持つ。一方、総合病院の阪大は心臓病だけでなく、がん治療などで幅広い経験がある。

両施設は同市内の近接地に位置し、人的交流もあることから、協力態勢を敷いて臨むことにした。

小児の心臓移植を行う際には、両施設の心臓外科、小児科、移植部門の医師らが共同でチームを編成。移植施設側に医師を派遣し、最適な方法を協議するなどして、臓器摘出から移植手術、術後管理までを協力して行う。

国内で小児の心臓移植を実施できるのは国循、阪大病院、東大付属病院の3施設。現状では提供者が少なく、実施は年間数件にとどまると予想されており、国循と阪大病院は限られた経験を共有し、小児移植を軌道に乗せたい考えだ。

両施設は平成11年、臓器移植法に基づく国内初の脳死移植が行われた際、阪大病院での心臓移植手術に国循が協力し、成功した経緯がある。

国循の市川肇小児心臓外科部長は「より多くの目でチェックして、知恵を出し合い、ベストチームで臨みたい」、阪大病院の福嶌教偉(のりひで)移植医療部副部長は「スタッフや知識を補い合い、経験を深めることは大切だ」と話している。

※小児の臓器移植・・・7月の改正臓器移植法全面施行で臓器提供の年齢制限が事実上撤廃され、15歳未満の小児からの脳死後の臓器提供が可能になった。移植で海外へ渡航せざるを得なかった重い心臓病の小児にとって、国内での移植に道が開かれた。だが大人と比べて提供者が少なく、移植待機中に必要な、小児用の補助人工心臓が国内で未承認など実現への課題は多い。虐待を受けた小児からの臓器提供は禁止されている。

・・・体制は整えておかないと
小児の心臓移植を行う日がいつになるのか、市民レベルでの「脳死=死」というコンセンサス形成が不十分な日本国では見通しは立っていないと思われます。しかし、法律上は可能になっているからには、実施できる体制の整備は必要でしょう。

小児での心臓移植は家族同意による脳死判定から始まると想定される上に、小児における脳死判定は慎重を期して成人の判定よりも時間をかけます。時間をかける分だけ移植開始も遅くなるわけで、いざ小児での心臓移植を行うとなったときの受け入れ体制ができていなくては、「ドナーとなるための脳死判定の決断」が無に帰するという目も当てられない状況になりかねません。

脳死に対する考えは、ダブルスタンダード
個人的に鮎滝は、「自分自身については、脳死状態に陥ったときに脳死判定を受け入れて、使える臓器はすべて使ってもらいたい。しかし、自分以外の他人は、本人意思が明確でない限り心臓停止まで待つべき」というダブルスタンダードの立場を採っています。

鮎滝がダブルスタンダードを採るのは、「人一人の生死を決めるには、その人一人を囲む人々が死と向き合った先の納得が必要」という死生観があります。

また個人的死生観以外にもう一つ、「ドナー(臓器移植を提供する側)も、レシピエント(移植を受ける側の患者)も救える第三の道。『人工臓器』『再生医療』は実現可能なはずだ」という最先端医学・工学への楽観もあります。『サイボーグ化による延命』『万能細胞による人体再生』ができれば、どちらか片方の命を諦めることもなくなるわけです。

「人間のアイデンティティが、どこまでのサイボーグ化や人体再生に付いていけるか?」という、新しい心と身体の問題も生じると予想しています。が、求めるなら、両方の命が救える道こそ求めるべきだろうと思います。


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ある少女の延命拒否
(アゴラ 12/15付)

【岡田克敏】死期の迫った人に対して「もうすぐ死んで楽になれますよ」と正直に言えるものではありません。建前を優先し「きっとよくなりますから頑張ってください」と心にもないことを言ってしまいます。また患者がその人にとってかけがえのない人の場合は「頑張ってください」というのは本心でしょうが、それが患者にとって幸せなこととは限りません。

最近NHKで放送された二つの番組はこれらの問題に一石を投じるものです。ひとつは12月8日のクローズアップ現代「ある少女の選択~"延命"生と死のはざまで~」で、悲運に見舞われた一家の記録を通して切実な問題を投げかけています。

心臓に重い疾患をもつ少女は8歳で心臓移植を受けますが、背骨が曲がり呼吸困難になって15歳のとき人工呼吸器をつけて声を失います。訪問医療によって、少女が望んだ両親との自宅生活が実現しますが、腎不全の発症によってその望みは絶たれます。人工透析は自宅では難しいからです。少女はここで人工透析をしないという決断をし、やがて18年の短い生涯を終えます。

父親は本人の意思を大事にするという方針なのですが、ある時、透析という方法があるので「生きているときっといいこともあるんだよ」と少女の気持ちを翻そうと試みます。しかし少女は「もう十分がんばってきたし、自分の命は自分で決めたことだし。もうパパ、追いつめないで」と携帯電話を使った筆談で答えます。

18歳という判断力のある年齢であることから、主治医は本人と両親だけで決定するのがよいと考えたこと、両親も本人の意思を尊重するという態度を変えなかったこともありますが、なによりも少女の覚悟と意志の強さが大きな理由でしょう。透析をすれば楽になることを知りながら、断るのはとても難しいことです。18歳とは思えない見事なもので、私ならできるかどうか・・・。「もう死ぬ」と周囲の反対を押し切って、自らチューブを引き抜いた作家の吉村昭氏が思い出されます。

次は全く対照的な話で、認知症などの患者が胃ろう(胃瘻、経管栄養法)によって延命を続けている実態を明らかにした11月28日再放送のETV特集「食べられなくても生きられる~胃ろうの功と罪」です。胃ろうとは胃へ通じる管を腹部に設置し、栄養物を注入できるようにすることです。中心静脈に養分を送る方法に比べ胃ろうは扱いやすく長期の生存が可能とされています。

諸外国に比べ、日本ではとくに急速に普及し、40万人に迫るとされ、65歳以上の胃ろう手術の対象者の72.3%は脳血管障害者と認知症で占められるとされています。日本はどうやら「胃ろう大国」らしいのです。

胃ろうの普及に力を入れ、3000人に胃ろう手術をした鈴木裕医師はある病院の大部屋を訪ねたときをきっかけに、胃ろうに疑問を感じます。胃ろうをしている30人の高齢者の光景、声をかけても反応がなく、ただ生かされているだけのような姿を目にします。彼らのほとんどは自分が胃ろうの手術した患者で、消化器だけが動いている状態が患者にとっていいことなのか、という疑問を感じたといいます。

しかしそのような場合、胃ろうを中止することは(元に戻すだけですが)人工呼吸器を外すことと同様、殺人罪に問われる危険があり、そのまま生かし続ける選択しかありません。医師で作家の久坂部羊氏の「 日本人の死に時―そんなに長生きしたいですか」には延命処置によって余分な苦しみを味わう例がいくつも紹介されています。

さらに番組は日本老年医学界学術会議の模様を紹介します。そこでは日本だけ胃ろうが多く行われる問題に対して議論が交わされます。ある医師は胃ろうをしないという選択は訴訟の可能性が高くなると述べました。今の医療の現状でいちばん常識のことを選ぶのが訴えられずに済む、無難な選択になると。なにもしないということは刑法に触れるのではないかと考える医師も多くいました。

277人の医師に「自分なら胃ろうをするか」という質問をした結果が紹介されましたが、「する」と答えたのは24.9%に過ぎず、多くの医師は自分なら望まない胃ろうを患者には実施しているという現状が明らかにされます。

延命を拒否した少女と、本人の意思に関係なく生かされる高齢者達、ここには生命に対する考え方の違いが見られます。少女の場合、もっとも重要なのは生命の質(QOL)であり、物理的な時間の長さではありません。それに対して胃ろうによって生かされている高齢者達の場合は時間の長さが優先されているようです。

しかし少女の場合のように本人の意思が優先されるケースは稀です。生命の質は本人の主観に基づくものであり、周囲の同意が得られにくいためでもあるでしょう。

それに対して胃ろうの高齢者ように、物理的な時間の延長を優先するケースは主流をなしています。それは、時間という客観的なものであるためわかりやすいといった点もあるでしょうが、命は何よりも大切であり1分、1秒でも長く生きるべきだという固定した考えと、刑法に触れる可能性、訴訟される可能性を避けるための行動による結果だということができます。まあ保険制度や病院側の事情もあるでしょうけど。

これには刑法も大きい役割を果たしているようです。胃ろうや人工呼吸器の扱いによっては殺人罪に問われる可能性があり、その威嚇は実に強力であるからです。刑法が現状を固定する役割を果たしていると思われます。そのために医療が不本意な方法を取らざるを得ないことは患者やその家族にとって大変不幸なことです。

法の整備を求める声はずいぶん以前からありますが、実現に至りません。番組では、胃ろうによって6年間生かされている寝たきり患者が映し出されていましたが、本人の意思と関係なく何年もの延命が実現された今、より柔軟な対応を可能にするような法整備の必要性は強くなっていると思われます。

またこれは医療費の膨張、医療の配分などにも大きく関わる問題です。簡単に答えの出ない複雑な問題ですが、いずれは誰もが直面する可能性があり、他人事と見過ごせることではありません。

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鮎滝 渉

Author:鮎滝 渉
千秋真一に23%似ているらしいブロガーです。
実家である愛知県に戻ってきました。
ほぼ日刊で更新中。日々の巡回サイトに加えてやってください。
-------------------------
ブロガー名を、「鮎滝 渉」へ改めました。
私が自分に付けた最初のペンネーム。そして、「一角の者になるまでは使うまい」と思ってた名でもあります。

大して公知のペンネームというわけでもありません。が、1回目の中小企業診断士試験の失敗以降、あれこれと思い悩む中、「“輝かしい名としようする執着”はかえって醜い。そろそろ、この名を名乗る覚悟をしよう」と決意。鮎滝の名を使うことにしました。

ちなみに、旧ブロガー名は「スクナビコナ」。
日本神話に出てくる知恵の神様の名前です。恐れ多い名前ですが、ブログをする気構えとして、使っておりました。

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