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12月23日は、天皇陛下の御誕生日 陛下77歳・記者会見の全文

陛下77歳・記者会見の全文
(MSN 12/23付)

【問1】今年は日本人2人のノーベル化学賞受賞など、晴れやかなニュースの一方、国内では高齢者の所在不明問題、対外的には尖閣諸島問題などがありました。この1年を振り返り、こうした社会問題や近隣諸国との友好・交流についてお考えをお聞かせください。

(天皇陛下)この1年を振り返りますとさまざまなことがありました。

質問の中で言及された高齢者の所在不明問題は、私自身思いも掛けなかったことで驚きました。私はこれまで人々が無事に高齢に達することを喜ばしいことと思っていましたが、元気に過ごしていると考えられていた高齢者の中に、その生死が分からない状況にある人々がいることが明らかになったことは非常に残念なことでした。

高齢化の進む社会にあって高齢者がしっかり守られていくことは極めて大切なことと思います。医療や介護に携わる人々の不足などさまざまな困難もあることと察せられますが、高齢者のために力を尽くす人々が増え、人々の老後が安らかに送れるようになっていくことを切に願っています。

今年は台風の上陸が少なく、死者を伴うような災害はありませんでしたが、梅雨期に各地に大雨が降り、死者を伴う災害が起こりました。また10月には鹿児島県の奄美大島を、この地域の人々がこれまで経験したことがないような激しい豪雨が襲い、死者を伴う大きな災害をもたらしました。

亡くなった人々の家族の悲しみ、住む家を失った人々の苦しみに深く思いを致しています。交通や通信が途絶した中で、かなりの時間を過ごさなければならなかった島民の不安な気持ちはいかばかりであったかと思います。

40年以上も前に、私どもは奄美大島を訪れ、当時の名瀬市から、山道を通って、この度大きな災害を受けた当時の住用村に行きました。当時を思い起こすとき、このような道路が寸断された山地の多い島で、救助活動に当たった人々の苦労がしのばれます。

夏は各地で猛暑が続き、多くの高齢者が熱中症で亡くなったことは痛ましいことでした。一人暮らしの高齢者や農作業中の高齢者が、熱中症にかかっていることを気付かずにいたために、亡くなっている例もあることから、熱中症に対する知識を深め、皆で健康に気を付けていくことが重要なことと思います。猛暑は農業にも大きな被害をもたらし、農業に携わる人々の苦労が察せられます。

農業関係の大きな出来事としては、宮崎県で発生した口蹄疫があります。長年にわたって大切に育ててきた牛や豚をことごとく処分しなければならなかった人々の悲しみ、ワクチン接種や殺処分など危険を伴う作業に携わった獣医師始め多くの人々の労苦に深く思いを致すとともに、この被害を他県に及ぼすことなく食い止めた県民の協力を深く多としています。

質問にあるように、晴れやかなニュースとしては、日本人2名のノーベル化学賞の受賞が挙げられます。授賞式において、お二人がメダルをスウェーデン国王陛下から受けられる様子をテレビのニュースで見て誠にうれしい気持ちを覚えました。年が明けてから、両夫妻にお話を聞くのを楽しみにしています。

小惑星探査機「はやぶさ」が小惑星「イトカワ」に着陸し、微粒子を持ち帰ったことは誠に喜ばしい今年の快挙でした。一時は行方不明になるなど数々の故障を克服し、ついに地球に帰還しました。行方不明になっても決してあきらめず、さまざまな工夫を重ね、ついに帰還を果たしたことに深い感動を覚えました。

今年は国際連合が定めた国際生物多様性年に当たり、また、生物多様性条約第10回締約国会議が多くの国々の参加者を名古屋市に迎え、開催されました。この会議では、さまざまな論議が交わされましたが、最終的に各国の同意を得て、会議が滞りなく終了したことは喜ばしいことでした。より多くの人々が生物多様性に関心を持つようになった意義ある会議であったと思います。

この生物多様性年も終わりに近いころ、日本の淡水魚が1種増えました。それは、最近新聞などでも報じられたクニマスのことです。クニマスは田沢湖にだけ生息していましたが、昭和の10年代、田沢湖の水を発電に利用するとき、水量を多くするため、酸性の強い川の水を田沢湖に流入させたため、絶滅してしまいました。

ところが、このクニマスの卵がそれ以前に山梨県の西湖に移植されており、そこで繁殖して、今日まで生き延びていたことが今年に入り確認されたのです。本当に奇跡の魚(うお)と言ってもよいように思います。クニマスについては、私には12歳の時の思い出があります。

この年に、私は、大島正満博士の著書「少年科学物語」の中に、田沢湖のクニマスは酸性の水の流入により、やがて絶滅するであろうということが書かれてあるのを読みました。そしてそのことは私の心に深く残るものでした。それから65年、クニマス生存の朗報に接したわけです。

このクニマス発見に大きく貢献され、近くクニマスについての論文を発表される京都大学中坊教授の業績に深く敬意を表するとともに、この度のクニマス発見に東京海洋大学客員准教授さかなクン始め多くの人々がかかわり、協力したことをうれしく思います。

クニマスの今後については、これまで西湖漁業協同組合が西湖を管理して、クニマスが今日まで守られてきたことを考えると、現在の状況のままクニマスを見守り続けていくことが望ましいように思われます。その一方、クニマスが今後絶滅することがないよう危険分散を図ることは是非必要です。

質問にありました近隣諸国との友好・交流については、これを増進することが極めて重要なことと思っています。尖閣諸島の問題に関しては、私の立場として、これに触れることは差し控えたく思います。

【問2】天皇陛下は喜寿のお誕生日を迎えられました。今年、陛下は2月にノロウィルスによる急性腸炎、6月には風邪で一時体調を崩されました。皇后さまはお誕生日の文書回答の中で「加齢によるものらしい現象もよくあり、自分でもおかしがったり、少し心細がったりしています」と心情をつづられていますが、陛下はご自身の加齢や今後お年を重ねられる中でのご公務のあり方についてどのようにお考えでしょうか。

(天皇陛下)一昨年の秋から不整脈などによる体の変調があり、幾つかの日程を取り消したり、延期したりしました。これを機に公務などの負担軽減を図ることになりました。今のところこれ以上大きな負担軽減をするつもりはありません。今年に入ってからも、質問にもあったように、時に体調を崩し、日程の変更をすることがあり、心配を掛けました。自動車で道を通っているときに、よくお大事にと声を掛けられます。多くの人々が私の健康を気遣ってくれていることに深く感謝しています。

加齢のことですが、耳がやや遠くなり、周囲の人には私に話をするときには少し大きな声で話してくれるように頼んでいます。テレビのニュースなどで、アナウンサーの話していることは分かるのですが、他の人の会話はかなり字幕に頼ります。アナウンサーがこんなに分かりやすく話してくれているのかということを、以前は考えたこともありませんでした。

この夏軽井沢滞在中、秋篠宮一家と石尊山に登りました。登りはまあまあでしたが、下りは滑りやすく、時々後からついてきた秋篠宮や眞子に助けられました。以前登ったときには考えられなかったことです。

私も高齢者の一人として、私の経験した加齢現象の一端に触れましたが、加齢による症状には、年齢の若い人にはなかなか想像のしにくいことがたくさんあるのではないかと思います。高齢化が進む今日の社会において、高齢者への理解がますます進み、高齢者へ十分配慮した建物や町が整備されていくことを切に願っています。

【問3】ご家族についてうかがいます。4人のお孫さまとは、御所や静養先などでお会いになり、ご成長ぶりをお感じのことと思います。お孫さまとの交流で感じられたことを具体的なエピソードを交えてお聞かせ下さい。特に、皇太子ご夫妻の長女愛子さまは、3月以来、通常の登校ができず、日々通学に付き添われている雅子さまもご公務が十分に行えない状態です。皇太子ご一家の現状について、どのように受けとめられていますか。

(天皇陛下)今年は、学習院初等科3年になる愛子に、登校が難しくなるという思い掛けない問題が起こり、心配しています。皇太子、皇太子妃の心配も大きいことと案じています。そのようなことから愛子と会う機会も限られ、残念ですが、交流としてお話しできるようなことはまだありません。

皇后は他の孫たち同様、愛子をとてもかわいがっており、愛子もこちらに来るときには必ず庭の花を摘んできて皇后に手渡しています。先日来たときには、飼っている猫の動画を熱心に皇后に見せていました。運動会の映像で見る愛子は、昨年と変わらず、元気に楽しんでいるようで、安ど堵しています。

眞子は、国際基督教大学に入学し、学生生活を楽しく過ごしているようでうれしく思っています。夏には海外英語研修プログラムに参加し、アイルランドで、ほぼ40日間、国の異なる人々と生活を共にしています。帰国後、写真を見せて丁寧に説明してくれました。将来、大学生活を振り返り、有意義なときだったと思えるような日々を送ってほしいと願っています。

佳子は、学習院女子高等科に進学しました。眞子が高等科在学中毎年出席していた全国高等学校総合文化祭に、今年から佳子が秋篠宮、同妃に付いて出席することになりました。このような高校生の行事で、他の高校の生徒と話し合う機会があることは、非常に良いことと思っています。御所で、皇太子一家、秋篠宮一家が集まり、大人同士が話し合っているようなとき、佳子は、よく愛子や悠仁の面倒を見、一緒に遊んでくれます。佳子のこのような気遣いをうれしく思っています。

悠仁は、お茶の水女子大学附属幼稚園に入園し、楽しく幼稚園生活を送っているようです。虫が好きで、秋には生物学研究所や御所の庭に来て、バッタやカマキリを捕まえたりしています。果実にも関心があり、生物学研究所のブドウの実が大きくなっていく様子を見たり、カキの実を採ったりしています。

秋篠宮の誕生日に、皇后がその日庭で採ったよい香りのするカリンの実を持って行って悠仁に見せたところ、悠仁はその重い実を大事に抱えて、行く先々へ持って行く姿がとてもかわいらしく見えました。

皇太子一家の現状については、皇太子妃が病気ですので、お答えすることは差し控えたく思います。皇太子妃の公務のことがよく言われますが、何よりも健康の回復に心掛けるよう願っています。

【関連質問】天皇陛下は、昨年皇后陛下とカナダ・ハワイを訪問され、2週間の旅で友好親善を深められました。今年は外国御訪問はありませんでしたが、お年を召され、御負担軽減も進められる中、今後の外国御訪問はこれまで以上に日程的な検討も必要になってくるかと思われます。陛下は今後の外国御訪問について、どのようなお考えをお持ちでしょうか、お聞かせください。

(天皇陛下)私の外国訪問については、よく外国の元首から御招待を頂きますが、その時に、訪問については政府が検討し決定するということになっていますとお答えしています。ですから、外国への訪問についてはこのようなことで、そういう場所が決まった場合には、力を尽くして、意義のある訪問に努めていきたいと思っています。



――――――――――――――――――――――――――
天皇陛下のおことばは、日本国のこの1年を隅々までご覧になってきたお姿が目に浮かび、心ふるえます。

陛下のおことばで、さかなクンの国鱒発見のすごさを改めて感じました。

陛下は、日本魚類学会に入っておられる魚類学者(ハゼの分類学的研究者)。ロンドン・リンネ協会名誉会員、ロンドン動物学会名誉会員、オーストラリア博物館リサーチ・アソシエート、アルゼンチン自然科学研究所永久名誉会員、スウェーデンウプサラ大学名誉学員などに列せられておられます。

日頃から生物へ関心を寄せられていると言っても、陛下に名前を覚えていただく機会は希有。絶滅種の再発見がいかに大きな出来事であるのか、蒙を啓かされました。
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プロフィール

鮎滝 渉

Author:鮎滝 渉
千秋真一に23%似ているらしいブロガーです。
実家である愛知県に戻ってきました。
ほぼ日刊で更新中。日々の巡回サイトに加えてやってください。
-------------------------
ブロガー名を、「鮎滝 渉」へ改めました。
私が自分に付けた最初のペンネーム。そして、「一角の者になるまでは使うまい」と思ってた名でもあります。

大して公知のペンネームというわけでもありません。が、1回目の中小企業診断士試験の失敗以降、あれこれと思い悩む中、「“輝かしい名としようする執着”はかえって醜い。そろそろ、この名を名乗る覚悟をしよう」と決意。鮎滝の名を使うことにしました。

ちなみに、旧ブロガー名は「スクナビコナ」。
日本神話に出てくる知恵の神様の名前です。恐れ多い名前ですが、ブログをする気構えとして、使っておりました。

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