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ISによる日本人人質事件を整理する(2) -後藤健二氏拘束-

湯川氏拘束をきっかけに、ISの対日姿勢が変化か
推測ではあるが、湯川遥菜氏拘束を契機に、IS内部で改めて対日姿勢を確認する議論が行われたと自分は見ている。

前回の記事で、湯川氏が拘束された時の記事を上げた。あの状況から読み取れるのは、ISが湯川氏を日本人と知った上で拘束した訳ではないことである。戦闘後のアレッポで、索敵警戒か何かで出動したISの部隊が怪しいアジア人に遭遇し、捕まえてみたらたまたま日本人だったのだ。
この時点で、ISは、まだ日本を明確に敵国としていた訳ではないだろう。

ISは、湯川遥菜なる日本人を拘束したことをジハードのHPで公表した訳だが、このことで湯川氏拘束に直接関与しなかった他の部隊にも状況が知れ渡った。当然、他の部隊からは「何故、日本に身代金を要求しないんだ?」との声が上がったはずだ。

イスラム戦争法の下では、健康な成人男子であれば、仮にまったく戦闘に関わっていなかったとしても戦闘員として捕虜にできる。ISは、湯川氏にもイスラム戦争法を当然に適用する。捕虜としたなら処刑するか、奴隷にするか、身代金や捕虜交換により釈放するか、恩赦により釈放するかを決めなければならない。これらの選択肢のうち、恩赦以外は日本との関係を悪化させるものばかりだ。

つまり、湯川氏を拘束したISは、ここに至って対日姿勢をも明確にしなければならなくなったのだ。

対日姿勢の議論で主導権を握ったのは、ISに多数参加するフセイン政権の担い手だった者たちであろう。
彼らにしてみれば、日本は潜在的な敵国なのだ。日本は、ISの宿敵である米国の同盟国であり、米国がフセイン政権を潰したイラク戦争でも後方支援も行った国だ。フセイン政権下で我が世の春を謳歌していた彼らが、テロリストに身をやつす羽目になった責任の一端は日本にもある。

こうしてISは、「日本は敵国として扱うべし」との意見で統一されたと考えられる。

日本からのリアクション 後藤健二氏のIS接触
一方、ISがジハードのHPで流した湯川遥菜氏拘束の情報に、日本側で強く反応した人物が居た。後藤健二氏である。

かつて、自由シリア軍に捕まった湯川遥菜氏を交渉の末に助けたことがある後藤氏にとって、湯川氏は知らない仲ではない。シリアへ医薬品を届けて感謝されたことに目を輝かせた湯川氏に、自分と同じ-ように戦災に苦しむ人々を支援する同志になれる、と期待もしていただろう。後藤氏は、湯川氏を救出するために積極的に動く。

後藤氏の中東取材は、2003年のイラク戦争にまで遡る。米軍による空爆下のバグダッドの市民生活に密着し、自由に街を歩けない市民の様子、遺体を庭に埋めるしかない病院など、戦争の悲惨さを取材している。イラク戦争後もたびたび中東へ足を運び、戦災で荒廃した現地を見続け、ISのような過激派が台頭してくる将来の危険性にも言及していた。

そんな後藤氏にとって、ISへの接触は難しくなかったはずだ。「日本人ジャーナリストの後藤健二が、湯川遥菜を助けるため、ISと接触したがっている」という情報は、後藤氏の願う通り、確かにISへ伝わったのだ。

ネットを使えるISにとって、ジャーナリストとして実績のある後藤氏の人となりを調べるのは造作もなかっただろう。そして、こう判断したはずだ。「英語を話せて、アラブ語も幾らか通じるであろうこの男は、良い人質になる」と。意思疎通に難のある湯川氏より、後藤氏の方が人質として有用であり、単純に使えるガードが増えるのは好都合である。

ISは後藤氏に「会おう」と返答し、2014年11月、今度は計画的に後藤氏を拘束した。

後藤健二さんの妻に20億円要求 「イスラム国」側がメール
(朝日新聞 15/1/22)
イスラム過激派組織「イスラム国」に拘束されたジャーナリスト後藤健二さん(47)=東京都=の妻あてに昨年11月~今年1月、後藤さんの拘束を伝え、身代金を要求するメールがイスラム国関係者から送られていたことが政府関係者への取材でわかった。妻は相手側と約10通のメールをやりとりして、後藤さん本人の拘束が間違いないことを確認した。身代金の要求額は20億円余だったという。

後藤さんは昨年10月下旬にシリア入りし、間もなく連絡が途絶えた。政府関係者によると、妻は同月末に外務省に相談。メールが届いたのはその後で、昨年12月初めに、このメールに気づいて開封した。メールには、後藤さんの身柄を預かっていることが英文で記されていた。

妻は内容の真偽を確かめるため、後藤さん本人しか知り得ない事柄についてメールでただしたところ、複数の質問に対して正しい回答が返ってきた。届いたメールのなかには、他の外国人の誘拐事件で被害者側とイスラム国側がやりとりした情報にたどり着くアドレスが記されたものもあり、情報の内容が過去の被害と合致したという。


日本を敵国とし、いつもの外国人誘拐として扱うIS
ISはいつもの外国人誘拐の例に倣って、20億円の身代金を請求するメールを、後藤氏の妻に送りつけた。

身代金を要求するメールが来たとはいえ、それは後藤氏個人の問題であり、この時点で既にISが日本を敵と見なしていたかどうか解らない、という人も居るだろう。しかしそれは、個人主義が進んだ日本人の感覚である。

復古主義的なISは、素朴に「同胞の危機に怒らない国などない」と考える。ヨルダンは、ムアーズ・カサースベ中尉が既に殺されていたことを知るやいなや、サジダ・リシャウィ死刑囚の死刑を執行した。この感覚こそ、ISが描く国民感情である。

それでも、身代金を払えば後藤氏は無事に返してもらえる訳で、ISと日本の敵対は決定的ではないと考える余地はあるはずだ。しかしこれも、ISを「事件の結末を想像もせずに見切り発車する犯罪集団」と見くびっている。

ISが想定する後藤氏の事件の結末は二通りで、一つは要求通りの身代金を受け取ったことによる後藤氏解放という結末であり、もう一つは解放交渉が決裂し後藤氏を殺害するという結末である。これらはISによる外国人誘拐のパッケージであり、後藤氏殺害も事件の行方として想定の範囲内に含めるのが当然だ。決して、その場の勢いに任せて身代金を要求することはないし、交渉が頓挫した時に「どうする?本当に殺すのか?」と狼狽えたり、迷ったりすることもない。
ISは、非道で残忍ではあるが、決して無能ではないからだ。

つまり、ISは、後藤氏の妻へ身代金を要求するメールを送った時点で、既に後藤氏殺害という結末とそれに伴う日本からの反感を甘受する覚悟を決めていた訳である。

(続く)
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鮎滝 渉

Author:鮎滝 渉
千秋真一に23%似ているらしいブロガーです。
実家である愛知県に戻ってきました。
ほぼ日刊で更新中。日々の巡回サイトに加えてやってください。
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ブロガー名を、「鮎滝 渉」へ改めました。
私が自分に付けた最初のペンネーム。そして、「一角の者になるまでは使うまい」と思ってた名でもあります。

大して公知のペンネームというわけでもありません。が、1回目の中小企業診断士試験の失敗以降、あれこれと思い悩む中、「“輝かしい名としようする執着”はかえって醜い。そろそろ、この名を名乗る覚悟をしよう」と決意。鮎滝の名を使うことにしました。

ちなみに、旧ブロガー名は「スクナビコナ」。
日本神話に出てくる知恵の神様の名前です。恐れ多い名前ですが、ブログをする気構えとして、使っておりました。

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