後期高齢者医療制度 400地方議会で「異議あり!」
後期高齢者医療制度(長寿医療制度)について、福島、岩手の両県議会と岐阜県大垣市など120市町村の地方議会が昨年1月以降、制度の「廃止」や「中止」「凍結」を求める意見書を可決しています。ここに「見直し」や「改善」を含めると、後期高齢者医療制度に関する異議申し立てを採択した地方議会は12県議会を含む約400議会となり、1800余りある全自治体の2割強に上っています。
内容としては、75歳以上の区分けや独自の診療報酬体系など制度設計そのものへの反発が強く見られます。後期高齢者医療制度の中止を求める地方議会「廃止」や「中止・撤回」を求めたのは、大垣市のほか岩手県紫波町など67市町村議会。厚生労働省によるモデル世帯別の保険料増減調査で、負担減の割合が最も低いとされた沖縄県では、名護市など15市町村議会が可決。長野県も11町村議会が可決し、沖縄県に次いで多くなっています。
今年3月に「廃止」の意見書を可決した大垣市議会は、新制度により、保険料滞納の場合、75歳以上でも保険証を取り上げられる点について「生存権を脅かす」と批判。同市の高橋議長は「75歳以上を別にする仕組み自体が、戦後を支えてきた高齢者には過酷。議会として廃止しかないと判断した」と話しています。
また制度そのものは残すものの、当面運用をやめる「凍結」は、福島、岩手の両県議会をはじめ、大阪市など53市町村議会が可決。最も多い北海道は、名寄市など22市町村議会が可決しています。
「凍結」を可決した広島県尾道市議会の井上議長は「窓口負担の増額など地方の高齢者が病院に行きづらくなる中、この制度がだめ押しになりかねない。小手先の手直しでは改善できない」としています。
財務省は、資産状況を誰もが解る「企業会計」に揃えるべき日本の一般的な税収で編成されている一般会計は、53兆円の歳入に対して、83兆円の歳出が計上されています。この時点で、優秀な家計担当から見ればあり得ない状態ですが、話しを先に進めるためにここへの突っ込みは一旦、止めておきましょう。
日本の国家財政は、上記の一般会計のほかに特別会計でまかなわれています。国の実質的な財政規模を見るためには、一般会計と特別会計の両方を見なければなりません。
しかしこの特別会計、財務省の公開している資料では非常にややこしい記述になっています。
まず、その金額の記述は3パターン存在します。
○総額ベース一般会計と特別会計の合計金額を『総額ベース』で見ると、
歳入・・・82.9兆+389.5兆=472.4兆円
歳出・・・82.9兆+361.9兆=444.8兆円
○純計ベース一般会計と特別会計の合計金額を『純計ベース』で見ると、
歳入・・・80.9兆+154.0兆=234.9兆円
歳出・・・33.5兆+175.4兆=209.0兆円
○企業ベース財務省の資料には2004年度の決算のものしかありませんが、それによると歳出は123.3兆円になることが示されています。
・・・・・・。
さすがにここまで来ると、「財務省の役人は、国民に知らせる仕事をしていないこと」がよく分かってきます。
総額ベースとか、純計ベースとか、仲間内でしか通じない記述がされており、私のような素人有権者には、「結局、いくら日本政府のサイフに入ってきて、いくらそこから出て行っているのか」さっぱり分かりません。一応、「総額ベース」と「純計ベース」の区別については、総額ベースから会計間の取引として重複計上されたものを除いて「純計ベース」としているのだそうです。
けれどもこれで民主党・長妻議員による、政府のムダ遣い指摘が五月雨式になる理由が、何となく分かった気がします。せめて、企業会計と同じ財務諸表になっていたら、人件費でいくら、水道光熱費でいくら、消耗品費でいくら掛かっていて、土地・建物の資産になっているものがいくらあるのかと、分析のしようがあります。
しかし、あくまで財務省流で資料を出し続けてきているため、財務省出身でもない限り、なかなか国会議員が財務省官僚の上を行けないようになっているわけです。
社会保障制度は、特別会計・一般会計を横断して議論を財務省の資料が解り難い現状があるとはいえ、それが問題になるのは財務省の実態を暴露し、批判するときに限られます。
財務省の資料が解り難かろうと、政治方針を立てることは可能なはずです。
老人医療費・年間11兆円。
この捻出が、当面の日本の社会福祉の命題です。その解決のためには、従来の保険金掛金の徴収方法では限界があり、そこで提起されたのが「後期高齢者医療制度(長寿医療制度)」です。75歳以上で区分けするというのは、保険制度の根本、「より広く負担者を募り、助けが必要な人を支援する」という考えに矛盾していると思いますが、保険料掛金を75歳以上の方にも負担してもらおうという考え方は一つのあり得る帰結です。
確かに諸外国には「老人医療費無料」という国も少なくありません。
しかし、日本の少子・高齢社会は他国に例を見ないほど深刻であり、1990年代バブル経済の崩壊時に深手を負い、そのような中でアジア通貨危機や石油価格高騰、世界同時株安に遭遇し、打っておかなければならなかった手を打てずに来たわけです。それゆえに2008年に至って、老人医療費無料が続けられなくなったわけです。
いま民主党、自民党でも構いませんが、やらなければならない仕事は、「いかにして老人医療費の個人負担を、年金からでも負担できる程度に押さえる制度を考えるか?」という問題への解答です。
日本が1年間に歳出できるお金は、一般会計と特別会計を合わせておそらく純計ベースの209兆円。これだけの予算規模で「どこに、いくら配分するかを考え抜いた政党」こそ、次期政権与党の第1候補ではないでしょうか?
ついでに、財務省主計局の若手が結集すれば、一般会計と特別会計を企業会計に書き替えることぐらい造作もないのではないでしょうか?