刑務所で盲導犬育成、受刑者が子犬を24時間世話
今年10月に開所する民間資産を活用した刑務所「島根あさひ社会復帰促進センター」(島根県浜田市)が、受刑者への矯正プログラムとして盲導犬育成を導入することが分かりました。
受刑者が子犬と24時間生活を共にするという刑務所では初の取り組み。受刑者に動物をいたわる心を養わせることと同時に、圧倒的に頭数が不足している盲導犬の普及につなげることで社会貢献も図ることが狙いです。
盲導犬育成には、子犬の頃から人間と接触する環境をつくる必要があります。現在、主に子犬の盲導犬は「パピーウォーカー」と呼ばれるボランティアたちが養育をしています。
盲導犬育成プログラムには財団法人「日本盲導犬協会」が協力し、開所当初は3〜5頭の育成を予定しています。生後2カ月の子犬が1歳になるまでの10カ月間、受刑者が常に養育。餌を与えたり散歩させるなどして子犬をしつけ、盲導犬としての適性を身に着けさせます。民間資産を活用した刑務所「PFI刑務所」「PFI(Private Finance Initiative)」とは、公共施設の建設・維持管理・運営などを、民間の資金・経営能力および技術的能力を活用して行うというものです。イギリスで生まれた行財政改革の手法であり、広義の民営化の一手段です。
「島根あさひ社会復帰促進センター」は、法務省が建設や運営を民間に委託する全国で4例目のPFI方式の刑務所。ゼネコン「大林組」や警備会社「綜合警備保障」などでつくるグループ会社が受託し、刑務所経験が初めての受刑者を対象に約2000人を収容します。
PFI刑務所には、セコムなどが運営する「美祢社会復帰促進センター(山口県美祢市)」、同じくセコムなどが運営する「喜連川社会復帰促進センター(栃木県さくら市)」、綜合警備保障などが運営する「播磨社会復帰促進センター(兵庫県加古川市)」があります。
盲導犬候補を育てるボランティア「パピーウォーカー」将来盲導犬となる予定の子犬は生後2カ月から約10カ月の間、パピーウォーカーと呼ばれるボランティアによって飼育されます。
パピーウォーカーは盲導犬の訓練士ではないため、特別なことをするわけではありません。
そのため、パピーウォーカーにになる条件は「現在他の犬を飼っていない」「日中でも誰かが世話をできる」「協会主催の講習会に出席可能」など。子犬の頃から人間に慣らすことがその目的で、生後1年まで「家族の愛情に包まれながら、豊かな社会性や基本的なしつけを身に着ける」ことが必要とされています。
パピーウォーカーは、盲導犬協会などから生後2カ月程度の子犬を引き取り、原則・月1回の講習を受けながら、生後10カ月から1年ぐらいまで子犬を養育します。
育てられた犬は再び協会に戻されて、今度は盲導犬になるための訓練を受けることになります。訓練を受けた犬のうち、実際に盲導犬になれるのは3割程度と言われています。また育てた犬とパピーウォーカーとは、犬の主従関係を混同させないようにするため、二度と会うことはありません。
日本で活躍する盲導犬は、たった1000頭盲導犬を必要とする視覚障害者は約7800人とみられています。しかし現在、盲導犬として活動する犬はたった1000頭で、絶対数が不足している状況です。
盲導犬育成において、実際に盲導犬になれる犬は訓練を受ける候補犬のうち3割、さらに盲導犬の現役期間は7、8年です。また、子犬の養育を担うパピーウォーカーには1回きりで辞めてしまう方もいます。したがって、約7800人の視覚障害者に、もれなくパートナーとなる盲導犬を行き渡らせるには、常に全国で5万世帯近いパピーウォーカーの登録が必要となっています。
↓パピーウォーカーに興味がある方は、盲導犬協会HPへ
◆財団法人 日本盲導犬協会HP