関西・10府県が「関西広域連合」設置で基本合意
関西経済界と関西を中心とする地方自治体が加わった「関西広域機構(会長=秋山喜久・前関西経済連合会長)」は30日、大阪市内で会合を開き、国からの権限委譲の受け皿となる「関西広域連合」(仮称)を設置することで基本合意しました。参加する自治体の議会で広域連合の予算となる分担金の支払いなどの同意を得た上で、早ければ来年夏の設置を目指します。
ただし福井、三重両県は、広域連合の取り組みが不十分だとしてこの日は合意を留保し、持ち帰って検討するとしました。
関西広域連合には大阪、京都、兵庫、奈良、和歌山、滋賀の2府4県と福井、三重、徳島の各県が参加を表明。さらに、30日午後に鳥取も加入しました。「さらに関西各地域との結び付きを強化したい」という目的で、鳥取から同機構に加入の申し入れがあったと言います。

関西広域連合をめぐっては「関西経済連合会」が2003年2月に提唱し、関西広域機構で議論を重ねてきました。同機構は2009年3月までに各府県議会などの承認を得て、同年4月、総務相に発足申請を行う予定です。防災、医療、産業振興など地域による地域経営30日の会合では「地方から広域行政のあり方を提案して、地方分権改革の突破口を開く」という広域連合の骨格案を議論。設立当初から、
(1)東南海・南海地震に備えた広域防災対策
(2)広域観光や産業政策
(3)ドクターヘリの効率的な配置による救急医療の連携
(4)地球温暖化や自然保護などの環境対策
(5)交通・物流基盤の一元管理・整備
などに取り組む方針。こうした広域行政の実績を積み重ねながら地方分権を関西から推し進め、将来的な道州制への早期移行を促進したい考えです。
議論の中で京都府・山田知事は「ドクターヘリは広域連合のシンボルとなる。すぐ実施するべきだ」と提案。大阪府・橋下知事も「ドクターヘリについては広域連合の発足を待たずに取り組んでもいい」などと語り、広域医療分野での成果を期待する声が相次ぎました。
関西広域機構の秋山会長は「政府でも道州制の議論が盛んだが、上からの改革で真の地方主権になりにくい問題点がある。住民の立場に立った自治権の確立が必要でそのために第一歩を踏み出す」と意欲を見せています。
「道州制」に期待されている効果―スリム化・地方主権―道州制とは、都道府県を廃して道または州に統合、行政は十分な財政基盤をもった道州が担い、国は国益を重視した政策に専念する「地域経営」という考え方です。
現在は、「市区町村―都道府県―国」という階層分けで行政サービスが行なわれています。その中には、市区町村と都道府県、市区町村と国、都道府県と国の間で重複しているものもあります。そこで、道州制では行政を「市区町村―道州」で完結させ、重複する行政サービス・職員を削減してスリム化することが期待されています。
また地方が行政責任を負うことで地方主権を確立し、首都・東京への過度な一極集中を見直すこと。国の役割を外交、防衛、司法制度、公的年金などに絞って縮小することで国益に特化すること、地方の役割を社会資本整備、産業・雇用政策などに拡大させて地域特性に応じた地域経営を実現することが考えられています。
最近、明らかになった道州制を後押しする事例としては、九州地方で宮崎県だけ、中国地方で鳥取県だけ高速道路が通っていないという道路行政の不合理、財政難に苦しむ大阪府が財政再建に向けてできる施策には府という限られた財政基盤では限界がある、地方中核病院が医師不足に苦しむ県では県境を超えて救急患者を搬送せざるを得ない、といった事があります。
「道州制」に期待されている効果―脱・陳情政治―こうした道府県だけでは解決しきれない課題について、現在は道府県知事や地方選出国会議員が中央省庁に働きかけて、補助金などを取ってくるというのが基本となっています。
陳情が無ければ地方にカネが回らず、声高な陳情に対してはカネがバラ撒かれるというこうした地方政治は、先述した高速道路等のようにしばしば戦略上の不合理を生み、「陳情政治」として批判されています。最近は、政治でもスピード・コストが重視されるようになったこともあり、わざわざ地方の道府県知事が上京する時間・費用のムダも批判のタネとなっています。
そのため「広域連合」が実働し、道府県だけでは解決できない課題に取り組むようになることは、取り組みを始めるだけでも注目に値することだと評価できます。