兵庫県が「余った予算」を次年度へ繰り越し
兵庫県は、無駄遣いの温床と指摘される「予算の使い切り」を見直し、節減した経費について相当額を翌年度予算に加算する「予算節約インセンティブ制度」を本年度から導入することを明らかにしました。
「使い切らなければ、翌年度は予算を減額される」という「お役所の慣行」との決別を図ることで、職員に節約意識を持たせて、節約を奨励(=インセンティブ)しようとするのが狙いです。
予算の「使い切り」慣行は、無駄遣いや裏金作りの温床
日本政府や、兵庫県などの地方自治体は、原則、『単年度予算方式』を採用しています。単年度予算方式では、年度内に予算を使いきることができずに余った額は、「もともと必要がなかったもの」と査定され、翌年度予算で減額されることが少なくありません。
このため、役所職員には「予算は使い切れなければならない」との意識が根強く、年度末に消耗品を大量消費するなど「駆け込み執行」が慣例的に行なわれてきたといいます。
実際、2、3月の文房具購入費が、ほかの月に比べて1.5倍〜2倍に膨らむというケースがあります。また、こうした予算の使い方が裏金作りの温床となっているとの批判もあり、単年度予算方式の慣行を見直す自治体が相次いでいます。
予算の駆け込み執行については、年度末の町中でも見られます。通常、道路や上下水道管などの損耗は一定して起こるはずのもので、建設・敷設した順番に応じて、修繕や交換の時期は順次やって来るはずです。しかし、年度末間近になると急に各所で道路工事が増えます。これは、その年度内で使いきれなかった予算の駆け込み執行だと見られています。
兵庫県が導入する「余った予算の繰り越し方法」
兵庫県も「県民の税金を無駄にすることなく施策の充実につなげたい」と、今回の「予算節約インセンティブ制度」の導入に踏み切りました。
県によると同制度の対象は、一括契約や長期継続契約を結んだことによる節約、事業を市・町や民間と共同実施したことによる節約、ペーパーレス化推進による節約など、事業見直しや工夫によって節約された予算額です。査定で認められれば、節約分に相当する額が翌年度予算に加算され、施策の拡充や新規事業に用いることができるようになります。
なお国の補助対象事業で経費を節約した場合は、補助率に応じて、自治体の独自財源分のみを翌年度に回すことになるとのことです。
兵庫県財政課は「行政改革で経費節減に取り組んでいるが、制度導入でさらに工夫を重ね、税金を有効に活用したい」と話しています。「当たり前だろう、バカもんがっ!」と言いたくなりますが・・・民間企業では、一年間に使った「費用」と一年間に上げた「収益」との差額が、「繰越利益剰余金」となるため、節約された分の費用を翌年度に回すことは当たり前のことです。
自治体も、扱うお金のほとんどが税金であるとはいえ、民間企業と同じ「事業体」。これまで単年度予算方式を採ってきたことの方が、異常だったのでないでしょうか?
もっとも、単年度予算方式が価値のない方法論であるとは思いません。
まだ幾ら費用がかかるか見積りの域を出ない新規事業を立ち上げた時、単年度予算方式では、「予算編成の時に1億円かかると見積もっていたが、実際にかかったのは8000万円で済んだ。来年度からは、この事業への予算は8000万円に削って、浮いた2000万円で新しい事業を始めよう」と考えられます。毎年、今やっている事業にかかった実際費用は幾らで、これまでやりたくてもやれなかった新規事業に充てる予算があるかどうか、場合によっては減税を図れないかを検証することができる方式であるため、『制度の運用次第』ではかなり有効です。
そう、根本的な問題は『制度の運用』にあります。
予算が減ったということは、決して一公務員が抱く「自分の権限が減った」という次元の話ではなく、「これまで誰かがやらなければならなかった事業に、予算を充てられるようになった」という自治体としての仕事の幅を拡げられるようになったという次元の話です。公務員は基本的に「なんでも屋さん」であるわけで、自分の関わっている事業について「大きくなった」「小さくなった」と一喜一憂するのではなく、自治体がやれている事業を「増やすことができたか」「減らさざるを得なくなったか」で考えるのが公務員という立場です。
予算不足分野に借金返済 自治体に「節約しない」という選択肢はない行政には、消費生活センターやこどもセンター(児童相談所)、災害対策などなど、充実を期待されている分野はたくさんあります。そうした分野に予算を充てられるように、予算の節約を考えてもらわなければ困ります。
またそもそも、いまの地方自治体のほとんどは多額の借金を抱えています。先月30日に総務省が発表した『07年度 財政四指標』では、北海道の夕張市、赤平市、長野県の玉滝村が破綻状態にあることを示す「財政再建団体」とされ、40市町村の財政に黄信号を意味する「早期健全化団体」のレベルにあるとされています。
予算の駆け込み執行などに使うお金があったら、借金の前倒し返済に充てなければならない財政状況であるはずです。
▽財政再建団体 基準北海道・夕張市、赤平市
長野県・玉滝村
▽早期健全化団体 基準北海道・留萌市、美唄市、三笠市、歌志内市、積丹町、江差町、南幌町、浜頓別町、中頓別町、利尻町、洞爺湖町
青森県・黒石市、大鰐町、深浦町、鯵ヶ沢町、西目屋村、田舎館村
山形県・新庄市
福島県・泉崎村、双葉町、
群馬県・嬬恋村
長野県・平谷村、根羽村、泰阜村
大阪府・泉大津市、守口市、泉佐野市
兵庫県・淡路市、香美町
和歌山県・和歌山市
鳥取県・日野町
島根県・浜田市、奥出雲町、飯南町、斐川町、西ノ島町
高知県・安芸市
沖縄県・座間味村、伊平屋村、伊是名村