亡命チベット代表者議会が「現行路線維持」を決議
インドのダラムサラで開かれていた亡命チベット人による特別会議は22日、中国との対話で高度な自治の獲得を目指す「中道路線」を継続するものの、現行の協議を不満とし、特使の派遣を中断すべきだとの提案を採択。また、中国側が前向きな対応をしなければ、独立要求をする以外に選択肢はないとしています。
しかし、中国側が歩み寄る可能性は低く、打開への道筋は見えない状況です。
亡命チベット代表者議会からの提案は、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世へ提出。これを受けてダライ・ラマ14世は23日に会見を予定しており、発言内容が注目されています。
亡命チベット代表者議会では、まずダライ・ラマについて「内外のチベット人の指導者であり、引き続き指導者の地位にあることを求める」とし、ダライ・ラマの決定には従うと明記。これまでの「中道路線」への支持が多数とした上で、中道路線が成果を出せない場合には独立要求路線に転じる含みを残しました。
記者会見に応じた亡命チベット代表者議会のドルマ・ギャリ副議長は、中国との対話中断について「今やボールは中国側にある」と述べました。 チベット問題 「独立は理想だが、流血の事態は回避したい」今回の会議は、中道路線の行き詰まりに批判が出始めた中で、今後の路線を議論するためにダライ・ラマが招集。参加者によると、議論をした15の分科会では、独立要求派から「中国は自治要求を拒絶した」「チベットは歴史的に独立国家だった」といった強い意見が出されたものの、独立要求は全体の2、3割程度にとどまりました。
チベット独立を求める声が抑えられた背景には、現状、中国が実質的な自治すら認めない状況で「独立要求は困難」との認識の広がりがあります。参加者のテンジン・チョウゲルさん(37)は「独立はみんなの理想だが、流血の事態を防ぎ、前向きな結果が見込めるのは自治を求める路線だ」と話します。
各分科会では、国際社会に中国の「圧政」への理解を深めてもらう努力や、一般の中国人との協力関係構築を説く意見が相次ぎました。内外からの圧力で、中国政府に前向きな変化を促すのが狙いです。
「非戦・自治要求」の現行路線を維持するも、手詰まり感ダライ・ラマ14世にとって今回の会議は、過去には目立たなかった自らの路線への批判が顕在化する中で「自らの求心力を再確認する意味があった」と、会議に参加したペマ・ギャルポ桐蔭横浜大教授は指摘。議論を通じて亡命チベット人の団結を促す狙いもあったようです。
会議では結局、ダライ・ラマ14世の現行路線が支持された形ですが、中国との対話の中断が効果を生む可能性は低く、手詰まり感は否めません。
急進派のチベット青年会議のリグジン総裁は「我々の組織は独立を求め続ける」と話しており、状況の進展がなければ一気に独立要求派が力を得る可能性もあります。
北京五輪後、日本では下火のチベット問題北京五輪が終わってから、日本においてはチベット問題は下火になっています。日本には日本の都合があり、「所詮外国のこと」であるチベット問題が取り沙汰されなくなるのは自然な流れです。ニュースの放映時間枠も、新聞の記事掲載枠にも限りがあります。
20世紀前半の世界は、大国による世界の線引き、植民地の取り合いでした。しかし大国による世界の線引きは、英、仏、独、伊、日、米、ソ、中といった大国同士の衝突に向かい、1939年の第二次世界大戦勃発という沸点に達しました。
しかし第二次世界大戦後の世界は、ガライと変わりました。
「民族自決」のもと、多くの植民地が宗主国から独立。20世紀後半からの世界は、列強国の持つ軍事力ではなく、「各民族集団が自らの意志に基づいて、その帰属や政治組織、政治的運命を決定し、他民族や他国家の干渉を認めないとする集団的権利」を、国家がよって立つ基礎としていきました。
チベット問題は、20世紀後半の民族自決の本流から取り残された問題だと捉えられます。13億人もの人口を抱える超大国・中国が、いつまでも前世紀の延長でいられるはずがない訳で、21世紀を生きる大国としての答えを選んでほしいものです。